ここでは、相続手続きの全体像についてご説明させていただきます。
相続というと、 土地・建物の名義変更、預貯金の名義変更(解約)、相続税の申告などに、目がいってしまいがちですが、実際にやらなくてはいけない事はそれだけではありません。
相続手続きは、戸籍収集から関係説明図の作成、財産調査から財産目録の作成、そして、遺産分割協議を経て、遺産分割協議書の作成、そして最後に名義変更という流れになります。下記では一連の流れをご紹介致します。
遺言書がない場合の相続手続きの流れ
一般的に、相続手続きは、不動産の名義変更のみの方であっても、相続開始(被相続人の死亡)から、最低でも1ヶ月半~2ヶ月ほど掛かってしまいます。これに加えて、預貯金や証券などの金融資産があるなど、きちんと進める必要がある方の場合ですと4~5ヶ月前後が一般的です。さらに、遺言がある場合や相続人に未成年や意思能力の無い方(認知症の方など)が、いらっしゃる場合、家庭裁判所の手続きが必要となるのでさらに2~3ヶ月の期間が掛かってしまいます。
また、相続税申告が必要になる方も全体の8~10%くらいですが、こうした方の場合は手続き開始から4~6ヶ月ほど掛かりますので、速やかに手続きに取り掛かることが必要になります。
30~40%の方は、4ヵ月前後かかる相続手続きを抱えています
大半の方は、相続手続きに4ヵ月前後の期間が掛かるのが実情です。
しかし、勝手にお金だけ引き出しておいて、放置している方が多い・・・という現実がある事も確かです。放置しておいて、まったく問題が無ければ良いのかもしれませんが、実際に放置しておいた為に大変な目にあってしまう方も少なくありません。
「相続人が1人のみ」「不動産が相続財産に存在しない」など、本当に1ヶ月も掛からない方も、まれにはいらっしゃいますが、残念ながら8~9割ちかくの方は該当しません。
大変ではありますが、ひとつひとつ遺産相続の手続きを進めていく必要があります。
遺産相続では大きな財産が動くにも関わらず、法律を知らない方が目先の財産に気を取られすぎてしまい、いい加減に片づけてしまうため、他の手続きに比べて非常にトラブルが多いのが特徴です。
当然ですが、こうした相続手続きは、いい加減には出来ません。
相続財産は、相続人全員の合意が無ければ分割出来ませんし、また、相続財産は、自動車を購入するような100万~200万の契約ではなく、もっと高額な財産が動く場合が少ないありませんから、住宅を購入するかのように、きちんとした手続きが必要になるのです。
自分勝手に進めようとしても、結局のところ、財産の名義変更も預貯金の払い出しも何も出来ません。また適当に進めてしまうと他の相続人の不満をかってしまって同意が得られなくなると最悪、弁護士の先生に関与してもらって、裁判所(調停や訴訟)を通じた遺産分割になってしまうのです。
相続は協議分割が原則です。他の相続人と協調しあって、しこりの残らない遺産分割を目指しましょう。いい加減にしても、必ず自分に降りかかって来てしまうものですので。
上手に、遺産相続の手続きを進めていきましょう!
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