権利証がない場合の相続登記はどうするか?

権利証を紛失した場合の相続登記の方法

 よく勘違いされていることがありますが、『法務局へ権利証を提出しなければ全ての登記申請ができないのではない。』ということです。権利証を添付する登記というのは決まっていて、その登記申請をする際には当然権利証が必ず必要となりますが、実は相続登記というのは、権利証が必要な登記申請に該当しないのです。

例外的に権利証が必要な相続登記とは

 登記実務上で例外的に権利証を添付しなければいけない相続登記のパターンがあります。
それは、「被相続人の住所が登記簿上の住所から現在の住所まで繋がらない場合」です。
 たとえば、不動産を購入したのは70年前だったとします。この時に登記した住所が全く別の住所だったとします。それから現在まで住所変更登記をすることなく、亡くなってしまうと、現在の住所と過去登記した住所が違うため、法務局から見ると、登記上の人と死亡した人が同一人かどうかの判断がつかなくなってしまうのです(法務局は住所と氏名で同一人か判断する)。人は世の中に沢山いるでしょうから法務局としては同姓同名の人が亡くなったかもしれない相続登記を受理するわけにいかないのです。
こういった場合には通常は、登記上の住所と繋がる住民票や戸籍の附票をつければいいのですが、住民票は5年しか役所の保管期限がないため、役所の証明書をどれだけ頑張って集めても昔の住所と繋げることが不可能な場合もでてきます。
 この時に法務局は補填的な資料として権利証の添付を要求してきます。権利証の原本を持って亡くなった以上、登記簿上の人と死亡した人は同一人であるだろうとの推定ができるので、法務局としても相続登記を受理してくれるわけです。
 少し複雑な話にはなりましたが、この同一人証明のために権利証を添付する場合もあるということだけを理解していただければ結構です。

例外に該当するのに権利証がない場合はどうすればいい

 例外に該当する場合で権利証がないケースだってありえます。この時には、登記実務上は『上申書』というものを作成して、法務局に登記を受理してもらうしか方法はないです。上申書の内容としては、ここで説明すると長くなってしまうので割愛させていただきます。
 この上申書については、個人が作るとどうしても無理がありますので、司法書士に作成してもらって相続登記を進めるようにしましょう。

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