残高証明書の請求(相続)

残高証明書の日付は相続発生日にしてもらう!

相続の手続きで残高証明書を取得する場合、残高証明書の日付に注意が必要です。

金融機関で「いつ時点の証明書が必要ですか?」と聞かれるので、必ず「相続発生日時点(通常は亡くなった日)の残高証明書」と答えるようにしましょう。

間違えて、証明書の依頼をした日時点の残高証明書を依頼してしまうケースがありますが、それでは相続手続き上意味がありません。

あくまでも、遺産分割協議で分けるのは相続発生日時点の財産ですし、相続税申告の計算に使う財産は相続発生日時点の残高が基準となりますからね。

万が一、基準日を間違えてしまった場合は、追加で手数料がかかってしまいますが再度証明書を取得するようにしましょう。参考:孤独死等の場合で死亡日がわからず、死亡日が「推定平成○○年○月○日から○日までの間」となっているような場合、すべての金融機関でこの期間中のいずれかの日で統一しておけば問題はないと考えられています。ただし、相続税申告が必要な場合は税務署等に相談した方がいいでしょう。

残高証明書には既経過利息も記載してもらう!

一般的に、金融機関で残高証明書の発行を依頼すると、その基準日時点での残高のみが記載されています。

しかし、預金は、最後に利息を受け取ってから相続発生日までの間に利息が貯まっていっています(これを「既経過利息(きけいかりそく)」といいます)。この利息は解約したら受け取ることが出来るものなので、相続財産と言えますよね。

そこで、相続税申告をする場合、定期預金については既経過利息(税引後)というものを元本に上乗せした額を評価額としなければなりません(相続税法令解釈通達203)。

参考:定期の預貯金以外については、既経過利子の額が少額である限り、預金残高通りの評価でも問題ありません。

定期預金の通帳には、利率や利払日などの情報が記載されているので、自分で既経過利息を計算しようと思えば不可能ではないのですが、面倒ですし間違えると意味がありません。

そこで、残高証明書の発行を依頼する際に金融機関で「定期預金は既経過利息も載せておいてください」とお願いしておきましょう。そうすれば、きちんと計算して証明書に記載してもらえますよ。

通常は残高証明書の摘要欄等に既経過利息の額が記載されますが、金融機関によっては別途「既経過利息計算書」を発行するケースもあります。その場合は別途手数料がかかることもありますよ。

残高証明書を取得するための手続きや必要書類は?

このセクションでは、金融機関で残高証明書を取得する手続きや必要書類について見ていきましょう。

なお、金融機関ごとに手続きの方法や必要書類等は若干異なるので、必ず自分で問い合わせるようにしてくださいね。

残高証明書の申請先

残高証明書を取得したい場合、まずは口座のある支店窓口に連絡をしましょう。

なお、基本的に同じ金融機関であれば、別の支店の残高証明書の発行依頼も可能です。ただし、別支店の場合は口座のある支店に書類を送ってからの発行手続きとなるので、急いでいる場合は直接口座のある支店に行った方が良いでしょう。

また、地方銀行等の場合、最初に口座を作った支店でしか手続きできないケースもあります。予め金融機関に電話をして、どこで手続きできるかを聞いておいた方が良いでしょう。

ネット銀行の場合は、原則として支店がないので電話や郵送で残高証明書申請のやり取りをすることになりますよ。

残高証明書の申請ができる人

被相続人の口座に関する残高証明書は、法定相続人であれば誰でも取得可能です。

参考:遺言執行者や相続財産管理人も同様に残高証明書を取得することが可能です。

しかし、中には「金融機関が近くにない」「体調が悪いので自分で窓口に行けない」といったケースもあるでしょう。

そのような場合は、相続人の実印を押した委任状があれば、相続人以外でも代理人として残高証明書の発行依頼をすることが可能となっています。

ただし、代理人になれる人を親族や士業に限定している金融機関もあるので、事前に金融機関に確認しておいた方が良いでしょう。

必要書類

残高証明書の発行には、以下の書類が必要です。

  • 残高証明書発行依頼書(金融機関でもらう)
  • (あれば)口座名義人の通帳やキャッシュカード
  • 被相続人の死亡を証明する除籍謄本 *
  • 相続人であることを証明する戸籍謄本 *
  • 窓口に行く方の印鑑証明書(発行後3ヶ月or6ヶ月以内のもの)と実印
  • 窓口に行く方の本人確認書類

*:平成29年からは法定相続情報証明制度が始まっており、金融機関によっては法定相続情報一覧図の写しを提出すれば、戸籍謄本等の提出が不要となることもあります。

なお、謄本や印鑑証明書等は原本の提出が必要ですが、窓口で言えば原本の確認・コピー後返してもらう事ができます。複数の金融機関で手続きが必要な場合は、無駄な手数料を省くためにも原本を返してもらうようにしましょうね。

手数料

残高証明書の発行には、1通あたり400円~1,000円程度の手数料がかかります。

残高証明書の発行までにかかる時間

残高証明書が発行されるまでの時間は金融機関によってかなりバラツキがあります。

信用金庫などであれば即日で発行してくれることもありますが、大手の銀行になると申請から発行まで1週間~2週間程度かかるケースもありますよ。なお、基本的に残高証明書は郵送で送られてきます。

結構時間がかかるケースもあるので、相続税申告が必要な場合はなるべく早めに発行依頼をしておいたほうが良いですね。

まとめ

相続発生時に残高証明書を取る必要性や、取る方法などについて見てきました。

残高証明書は、各金融機関の口座残高が通帳等によってわかるのであれば、必ずしも必要な書類ではありません。

しかし、借入金などのように通帳に載らない残高もあるので、特に相続税の申告が必要な場合は、通帳が手元にあっても面倒臭がらずに残高証明書を取ることをオススメします。

最後に、主要な銀行等の手続きを一覧にしたものを参考に載せておきますね。

項目ゆうちょ三菱UFJみずほ三井住友りそな
手続き場所全国の窓口同左同左同左同左
通帳必要不要不要不要支店による
発行方法その場で発行郵送郵送郵送支店による
発行までの日数即日3~5営業日程度3~5営業日程度3~5営業日程度支店による
必要書類●戸籍謄本
●除籍謄本
●手続きをする相続人の印鑑証明
●本人確認書類
同左同左同左同左
委任状ゆうちょ銀行指定指定なし指定なし指定なし指定なし
原本還付その場で返却同左同左同左同左

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