定款の変更

1. 定款変更とは元の定款を書き替えることではない

会社設立時に作成した定款(紙・電子)はいずれも「原資定款」となり、その定款自体を書き換えるのが定款変更ではありません。
定款変更とは、株主総会で定款の変更を決定し、議事録に残すことを言います。
その後、必要があれば法務局にて定款変更の登記申請をします。

会社の設立時と違って、公証役場での定款認証は不要です。
必ずしも行政書士や司法書士にお願いする必要はありませんが、手数料をお支払して変更を依頼することもできます。

2. 定款変更には登記の必要なものといらないものがある

定款変更には、以下の3種類の変更方法があります。

定款変更3種類

  • 法務局にて登記の必要な定款変更
  • 法務局にて登記のいらない定款変更
  • 定款変更はいらないけれど法務局にて登記は必要なもの

3. 法務局にて登記の必要な定款変更の手順と必要書類

3-1. 法務局にて登記の必要な定款変更の手順

定款変更をするためには、まず株主総会を開く必要があります。
株主総会にて定款変更の決定をし、それを議事録に残します。
変更内容を記載した議事録を法務局に持って行き、変更内容の登記申請をします。
変更内容を記載した議事録は、原始定款とともに会社に保存します。

法務局にて登記の必要な定款変更

  • 商号変更・事業目的変更・会社(本店)の住所変更・株式に関すること・公告方法の変更、取締役会の設置や廃止、支店の移転や設置・廃止、監査役の設置・廃止、組織変更

3-2. 法務局にて登記の必要な定款変更の必要書類と手数料

法務局にて登記申請のいる役員変更

3-2-1. 商号の変更

商号変更とは、その名の通り会社の社名を変更することを言います。
例えば、有限会社を株式会社に組織変更するときにも、会社の名称が有限会社◯◯から、株式会社◯◯に変更になるため、組織変更の申請と同時に、商号変更の手続きも必要になります。
また、会社の名称を変更するときには、今まで使っていた会社の印鑑も作り直す必要がありますので、法務局に「印鑑届書」を同時に提出します。
商号変更の申請は、株主総会から管轄の法務局へ2週間以内に変更登記申請を行う必要があります。

3-2-2. 事業目的変更

事業目的の変更でよくあるのが、許認可申請のための事業目的変更です。
許認可は、必要な事業目的を入れておかないと、許認可が下りないことがあります。
事業目的の記載の仕方は、ある程度決まりがありますのでご注意ください。
事前に許認可の監督官庁に、必要な事業目的の記載方法を確認しておきましょう。

3-2-3. 会社(本店)の住所の変更

★管轄法務局内での本店移転の場合

例1) 例えば定款に「本店を東京都台東区に置く。」と定めてあり,台東区内での本店移転であれば定款変更をする必要はありません。

ただし、「取締役の過半数の一致があったことを証する書面」の提出が必要です。
管轄の法務局へ2週間以内に変更登記申請を行う必要があります。

例2) 例えば定款に「本店を東京都台東区上野一丁目○番○○号に置く。」と具体的な所在場所まで定めてある場合は,台東区内での本店移転であっても定款変更をする必要があります。
株主総会から管轄の法務局へ2週間以内に変更登記申請を行う必要があります。

例3) 所在地外への本店移転の場合
例えば定款に「本店を東京都台東区に置く。」と定めてあり,台東区外への本店移転をする場合は定款変更をする必要あります。
株主総会から管轄の法務局へ2週間以内に変更登記申請を行う必要があります。

★管轄登記所外へ本店移転する場合

管轄登記所外への本店移転の場合は,移転先を管轄する登記所分の申請書も作成する必要がありますので登記申請書は合計2件となります。(申請書の内容はそれぞれ異なります。)
登録免許税額もそれぞれ3万円ずつとなります(合計6万円となります。)。
また現在登録されている印鑑を移転先を管轄する登記所に登録し直すための印鑑届書も作成する必要があります。
登記申請は、登記申請書2件分に印鑑届書を添えていただいた上で、本店移転前の現在の管轄登記所宛にすることになります。
株主総会から管轄の法務局へ2週間以内に変更登記申請を行う必要があります。

(参考)その他、法務局にて登記の必要な定款変更の項目と費用

  • 株式の譲渡制限規定を設定…登録免許税3万円
  • 株券発行の廃止…登録免許税3万円
  • 発行可能株式総数の変更…登録免許税3万円
  • 公告方法の変更…登録免許税3万円
  • 支店設置・廃止・移転…登録免許税3~9万円
  • 監査役の設置・廃止…登録免許税3万円

4. 法務局にて登記のいらない定款変更の手順と必要書類

法務局にて登記のいらない定款変更の場合は、株主総会で決定したことを、議事録にし、会社に据置くだけで大丈夫です。
ただし、「決算月の変更」などは、納税の関係上、税務署にも変更の届出が必要です。

登記のいらない定款変更提出書類

法務局にて登記のいらない定款変更の場合は、登記費用も必要ありませんし、税務署への届出にも費用はかかりません。
提出書類のみを異動後に速やかに提出してください。

4-1. 決算月の変更

決算月の変更は、定款変更をし、税務署に「異動届出書」を提出することで変更ができます。
この場合、1年を越えてはいけません。
決算月を変更する理由としては、
・親会社と子会社の決算月を合わせるため
・売上の大きな月を決算月から変更するため(節税対策のため)
といった内容があげられます。

(参考)定款変更はいらないが、登記が必要なものの手順と必要書類

定款変更はいらないが法務局にて登記の必要な項目

  • 役員変更…就任・重任・辞任・退職・解任・改姓・住所変更
  • 資本金の変更…増資・減資
役員変更

定款変更は必要なくとも、役員の就任・重任・辞任・退職・解任などは株主総会後の議事録が必要になるため、手順としては株主総会後に議事録を作成し、法務局に申請というようになります。

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