「平等」ではなく、「公平」に

不平等=公平感があるように分ける

法定相続分で相続は分けなければいけない、という間違った考え方が流布していますが、相続は平等ではなく不平等で分けても良いのです。

しかし、私がいう不平等とは公平感があるように分けるということです。いくら不平等で分けるといっても、不公平であれば、お互いに納得ができずに、それが新たな火種になってしまうことになります。

一人ひとりの事情に合わせて、補助を適切に配置している、これが公平という考え方です。

相続の場面でこの話をすると多くの人たちが、自分たちの相続・遺産分割の話になると別だと言い張るのです。感情的には分かるが勘定(財産)の面で納得がいかないということなのでしょう。しかし、それではいつまで経っても、相続争いは防げません。

家を守ることを前提に、皆が満足で幸せになれる相続を

これまで見てきたように、相続人も年齢、経済状況や置かれている立場などがバラバラです。その一方で、相続財産も現金といった分けやすい財産よりも、不動産や事業といった分けにくい財産のほうが多いということが理解していただけたかと思います。平等に分けること自体が難しいのであれば、不平等ではあるけれど公平感が出るように分けることを考えたほうがいいのではないかというのが、私の提案です。

実際に、法定相続分どおりに分けている家族は、揉めた相続の結果であることがほとんどです。そういった意味では、法定相続分で分ける平等相続は、現実的な分け方ではないということです。

「相続財産は平等に分けなければいけない」

世の中では、それが正しいことだといわれています。しかし、よくよく調べてみると、相続財産もさまざまで、相続人もさまざまな事情を抱えています。平等に分けることは道理に合わないことが、よくご理解いただけたかと思います。そして、平等に分けることが、法律上でも規定されていないことも理解していただけたでしょう。相続財産を平等に分けることは、実はなんの根拠もないのです。平等に分けようとすれば分けようとするほど、誰もが不幸になるのです。

それならば、家を守ることを前提とした相続を目指し、皆が満足で幸せになる相続を考えたほうがより良いのです。

不平等といいますが、不平等は別の言葉で言い換えれば、公平ということです。相続人皆が公平で納得できるという爽快な相続(爽続)を目指していきましょう。

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