相続欠格は、相続人が犯罪を犯した場合などに
相続人の資格が無くなることです。
本来ならば相続人であるはずなのに、何かを理由に相続人になることができない場合があります。
どんな理由かというと、相続欠格事由(相続に関係する法律を犯すようなひどいこと)に該当するような場合です。
そのような場合は、相続人の資格が剥奪され、このことを【相続欠格】といいます。
●相続人の資格は一度失うと戻せません
この相続人欠格というのは、【相続人廃除】と違い、被相続人(亡くなった方)の意思とはまったく関係ありません。
そのため、相続欠格となった者に相続させると被相続人が遺言を残していても、それは認められないので非常に厳しいものと言えます。
そして、一度でも相続欠格となった者は相続人の資格を永遠に失うことになり、相続人の資格が復活することもありません。
●相続欠格者が被相続人よりも先に亡くなっていた場合は?
相続欠格者(相続欠格事由に該当する者)が被相続人よりも先に亡くなっていた場合は、代襲相続することになり代襲相続人が相続欠格者に代わって相続人となります。
相続人の資格を失ったのに、相続権は代襲するの?と不思議に思うかもしれませんが、相続人の資格を失ったのはあくまでも【当人のみ】です。
相続放棄の場合・・・
相続人が自らの意思で相続放棄をする場合は、相続放棄をした者が初めから相続人ではなかったとみなされるので代襲相続することはありません。
相続欠格は、相続人の資格を失い相続人ではなくなりますが、”初めから相続人ではなかった”という扱いではないので、この点に違いがあります。
では、相続欠格事由(相続に関係する法律を犯すようなひどいこと)とはどんなことでしょうか?
それは、以下のような、相続に関して不当に利益を得ようとしたことをいいます。
相続欠格事由
1 | 故意に被相続人、自分以外の相続人を死亡させ、または死亡させようとして刑に処せられた者 |
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2 | 被相続人が殺害されたことを知りながら、告訴、告発をしなかった者 ただし、その者に是非の弁別がないとき(まだ子供の場合など)、または殺害者が自己の配偶者もしくは直系血族(子、孫、親、祖父、祖母)であった場合は、例外です。 |
3 | 詐欺や強迫により、被相続人が相続に関する遺言を作成・撤回・取消し・変更することを妨げた者 |
4 | 詐欺や強迫により、被相続人に相続に関する遺言を作成・撤回・取消し・変更させた者 |
5 | 相続に関する被相続人の遺言書について偽造・変造・破棄・隠匿した者 |
以上のような相続欠格事由にひとつでも該当することがあれば、法律上、当然に相続人の資格が剥奪されることになり、相続人ではなくなります。